建築士になるまでに

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「けんちく」のプロを目指して

既存不適格建築物とは

皆さん、こんにちは。mitsukiです。

 

流行」という言葉があります。

人々が世間のブームに乗っかることですね。

 

ファッションに例えると平野ノラさんがまさに体現しています。

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バブル期に流行っていた肩パッドなど現代の若者が見たら「なにがいいの???」となりますが、昔の人々はそれがイケていると本気で思っていたんですよね。

 

そう考えると流行を読むということは本当に難しいんだと思います。

 

さて、そんな流行が建物にもあります。

流行の発信元はもちろん建築基準法

 

でもファッションの流行と致命的に違う点がひとつあります。

 

それは「建物は服みたいにポンポン着替えられない」ってことです。

 

一度建築基準法というブームから外れてしまった建物はどうすればよいのでしょうか。

 

今日はそんな期せずして道を外れてしまった建物のお話です。

 

 

 

例えばの話

 

架空のお話として少し物語を書きます。

 

例えば、ひと昔前の建築基準法では屋上に手すりを設置しなくてもOKだったとしましょう。(実際のところは詳しく知りません。)

 

しかしある時からマンション屋上からの転落事故が相次ぎました。

 

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世間の目は手すりを設置しなかった建設デベロッパー、ひいてはそれを良しとしていた建築基準法に向きます。

 

「手すりを義務化しろ!」と。

 

各政党が国民の声を代弁しようと、我先にと法律の改正案が国会で審議されます。

 

かくして国会で手すりを設置する改正案が可決し、国民の安全はまた一歩保証されたのでした。

 

めでたしめでたし。

 

ではないんです!

 

取り残された建物

 

上のお話で国民の生活は確かに改善されました。

 

でも何か忘れてますよね。

 

そう、改正前の法律で建てられた建物たちです。

今回の場合では、旧法に沿って建てられた屋上に手すりのないマンションたち。

 

このケースのように、一度建築基準法から外れてしまった建物はどうなるのでしょうか。

現在の法律に反しているという理由から違反建築物になるのでしょうか?

 

ちょっとそれでは筋が通らないですよね。

なぜなら何も悪いことをしてないから。

 

ただその時の法律に沿った仕様で建てられたにも関わらず、後出しで違反呼ばわりされたらたまったもんじゃないですよね。

 

そのため、建築基準法ではこういった建物を救済するための措置を取っています。

 

それが既存不適格建築物です。(キゾンフテキカクケンチクブツ。逆に読みづらいですね笑)

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既存不適格建築物

 

読んで字のごとく「既存の法律には不適格な建築物」という意味です。

 

そう呼ぶぐらいだから、当然今の法律とマッチしていない部分があります。

 

上の例では手すりが設置されていないマンション達と、手すりの設置を義務化した建築基準法になりますね。

 

しかしマッチしていないからといってすぐさま「違反だ!取り壊せ!」なんていう乱暴な話にはなりません。

 

基本的にはそのままそこに在り続けることに何の問題もないです。基本的には

 

オーナーさんも法改正のたびにビクビクする必要はありません。

 

問題が生じてくるのはその先の話。

 

新たに改修増築を計画したときです。

 

再び現行法に乗せる必要性

 

例えば建物を増改築をするとき。

 

工事規模にもよりますが、原則的には行政に工事許可を取る必要があります。

(これまで何度も出てきましたが、確認申請と呼ばれる作業です。早く記事にして解説しなければなりませんね。汗)

 

現行法に沿っている建物であれば何ら問題はありませんが、既存不適格建築物は少し状況がややこしくなります。

 

それは行政にこう言われるからです。

 

「そのまんまでいる分にはとやかく言わないけど、今後工事するときは直せるとこ全部直してね?」と。

 

つまり追加で工事をするときは、現行法に反している部分はついでに全て直さなければならないのです。

 

ここでまた例え話をします。

 

ある飲食店のオーナーがテナントの模様替えを前提に居抜き物件を借りようとしてました。

 

ある日、希望に合う好条件の物件があったので即契約。

しかし工事に取り掛かろうと設計士に依頼をした矢先に、既存不適格建築物だったことが判明。

 

当初予定していた部分以外も直さなければならない羽目になりました。

 

結局予算的にも足が引っ張られ、満足な工事もできないまま営業開始。

 

店主も開店当初からモチベーションが上がらず、客足は次第に遠のき数ヶ月後に閉店…

 

まあ今回は最悪な結果を辿っていったケースですが、こういった事態は十分に起こりえます

 

今回のケースでは既存不適格建築物であることが原因で、本来であればしなくても良い工事をいまの借主が負担しなければならないパターンでした。

 

しかし居抜き物件を工事して再利用するなんてどこにでもある話。

近年では空き家や空き店舗の中古ストックを流用する流れがありますが、現状では既存不適格建築物がその逆のベクトルを担ってしまっていますよね。

 

正直なところ、もう少し緩くしても良いのではないかと感じます。

 

さて、そんな一抹の不安を抱える既存不適格建築物。

 

法律の改変を予見することは現実的に難しいので、こればっかりは運次第としか言いようがありません。

 

バブル期の大人たちも、まさか肩パッドが後世ではこんなに廃れているとは思いもしなかったことでしょう。

 

これから中古物件の購入を考えている人も、こんなことを少しだけ頭の片隅にでも置いといてください。

 

 

おわりに

 

いつもご覧になっていだたきありがとうございます。

 

世間はバレンタインデーで盛り上がっていますね。

 

私も学生のときは一喜一憂しておりました。

 

いつからでしょう。

このビックイベントを意識しなくなったのは…

 

たとえ年を重ねても、心まで老けたくはないものです。

 

それでは。