建築士になるまでに

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「けんちく」のプロを目指して

BIMのメリット ~なぜいまBIMなのか~

皆さんこんにちは。mitsukiです。

 

以前私が熱中していたワードを覚えておいででしょうか。

 

それはBIM。 

「Building Information Modeling」という建物を3Dで作ってしまおうという手法です。

 

もっと踏み込んで言うと、まずパソコンの中に実際に建てる建物を作ってしまおう、そこから同じものを現場で作ろう的なものです。

 

いままではネット上の知識だけで語っていましたが、百聞は一見にしかず。操作研修へ行ってきました!

 

交通費・講習費とも安くはありませんでしたが未来への投資。我慢我慢。
夢と希望を抱いて新幹線に乗りました。

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成果は想像以上

今回の講習で使ったソフトはRevitというAutodesk社が出しているソフト。

私がBIMを知るきっかけとなった山形雄次郎氏が本を出版していたので丁度よかったです。

 

そんなこんなで実際使ってみましたよ、BIM。

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感想は…素晴らしいのひと言!!

 

もう使ってて楽しいのなんの
今まで線一本一本を引いてやっとさ壁を表現していたんですが、BIMであればここからここまで壁!と入力してあげればもう壁が出来ちゃうんです。

 

しかもそれが平面ベースで終わらない。
立面も断面も外観パースも、すべてが連動してくれる

 

私が求めていたのはコレなんだと確信しました。

 

CADが同じパソコン上で行う作業だとしても、本質的にやっていることは手書きと同じですからね。
極論を言えばCADによるメリットは「手書きより狂いのない線が引けるだけ」しかありません。

 

その点、BIMでは作っているものがもはや線ではなく建物そのものなので、各要素に属性を持たせることも可能です。
例えばここは壁の仕上げがクロスここは漆喰と属性を与えてあげれば、瞬時に各仕上げ材の面積がはじき出せてしまいます。

 

サラッと言ってしまいましたがこれはもう革命な出来事なんです。

 

建築には積算屋という、いわゆる各材料の数量の計算を専門に行う仕事があります。
線の集合体である図面からその内容を読み取り、距離や個数を計り数量を計算するという仕事です。俗に言う「拾い出し」と呼ばれる作業ですね。

 

ですがこの仕事もBIMが本格的に普及すれば真っ先に淘汰される仕事だと思います。

残るのはBIMによる積算が合っていると保証する人、責任を取れる人。要は上の人間ですね。

積算のための作業スタッフは今後ほとんど必要なくなるでしょう。厳しいことですが事実です。

 

とりあえず老害は◯ネ

しかし良いことばかりではありません。

BIMの講習会行くと新しい技術に興味津々な若い設計士さんと、おそらく事務所の所長(もしくはその下の中間管理職)的なおっさんとで半々な割合でした。

 

若い人たちは見ていて楽しいです。
ソフトの使い方もどんどん覚えていくし、講師の方にも積極的に質問しています。
ああいうスタッフのいる事務所の未来は明るいなと思います。

 

問題なのはおっさん達ですよ。

 

BIMの使い方がわからないだけならまだ理解できます。そのための講習ですからね。

大いに学んでいけば良いと思います。


しかし中にはやれアレができないだ、今使っているCADの使い方できないだなんていう文句ばかり言う人も。

彼らにとって設計とはあくまで図面を書くことであり、BIMなんていう使い方もよくわからないソフトは最初から拒否反応を起こしているようです。

BIMもあくまでCADの延長線上でしかなく、CADと同じように使えない時点で自分たちにとって害のある存在になってしまうようです。

 

こういうのは日本人の習性なんですかね。
新しい技術が出てきても、出来ないことに目を向けて発展を妨げるというか。

おそらくAIや車の自動運転技術も、既得権益で甘い汁を吸ってる人間たちが妨害してくるのでしょう。

 

大局的な目で見たら、働かなくて良いんですよ!
車で行ってもお酒飲めるんですよ!

そう思ったら人生豊かになる未来しか見えないじゃないですか。

 

今回の講習に関しても同じです。

 

おっさん達よ。
技術の進歩を恐れる気持ちはわかる。
若者に出来て自分達には出来ないという状況は確かに怖いでしょうし。

 

でもそれじゃダメなんですよ。
ただでさえ建築は3Kどころか7Kなんて言われてる仕事で若い人が寄り付かなくなっているんだから、少しでも楽な方向に持っていかないと衰退する一方です

 

なんて言えれば良かったんですけどね~。

 

若者とおっさん。
その狭間にいる年齢の私はどちらに見えていたのか。気になりますね。

 

設計士の仕事とは

話がそれました。

いつかの記事と矛盾していますが、最近では良い図面を書くことが良い設計士の条件なのか疑問に思うようになりました。

architegg.hatenablog.com

  

というのもBIMでモデリングする作業は必ずしも良い図面を書くことにはつながらないからです。残念ながらそこは老害のおっさんの言う通り事実です。

 

しかしそもそも論として、BIMデータを図面に落とす必要があるのでしょうか。
言い換えれば、3Dをわざわざ2Dに変換するメリットって何でしょう?

 

せっかく3Dで建物を作っても、人に見せるのには不便だからという理由で2Dに焼き直してるのが、各社のBIMの実質的な利用方法です。
程度の差こそあれゼネコンも他の設計事務所も同じだと思います。
(しかしお施主さんにとっては3Dの方が理解が進むケースも多い。あくまで業界人の都合です。)

 

これについてはRevitの使い方の草分け的存在である山形雄次郎氏もTwitterでこう述べられています。

  

山形氏が言うように、もう本当に大変。
徒労感が半端ないです。

 

頭の中は「なんでわざわざ?」
この言葉がひたすらリフレインしています。もはや叫んでます。

 

そんなことを考えると日本の建築の道はいま分岐点にいるんだと思いました。

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ひとつは従来のやり方にBIMを当てはめること。


パース作成などのBIMの長所は生かしつつも、あくまで図面という紙ベース・2Dベースの資料で物事を進めていく手法です。

先ほども延べたように、3Dデータを2Dに整えて図面を作成するという、本来する必要のない作業が発生します。

しかしこれが業界的には最もストレスのかからない方法です。

いままでの延長線上で仕事を進めていけばいいのですから。

 

もうひとつはBIMで作ったモデルを主導に全体を進めていく方法。

 

設計士は3Dモデルの精度を上げていくことだけに注力し、職人さんも施主も工務店も、自分に必要な情報をその都度抽出するという形で工程を進めていくような形と仮定しましょう。
監督さんや職人さんは従来のように渡された図面を見るだけでは仕事ができなくなるので多少の歩み寄りは必要になります。

 

しかしその見返りとして図面の不整合はなくなりますし、設計の初期段階から様々なことを検討することが可能です。

例えばここに梁があると配管が通せないとか、現場が進んでから発生する問題も最小限に抑えることができます。なんせもう建物はパソコン上に存在しているのですから。

 

お施主さんは着工前から建物の全体像を正確に掴めますし、打ち合わせに関しても2Dが3Dに勝る理由はないので、工事に関わる人全員が正確に建物のイメージを共有できる未来です

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この2つを比べた時、どちらが明るい未来だと思いますか?


職人さんが機械オンチだからそんなの無理だとか、紙がないと現場での打ち合わせに困るとか。
そんなしょーもない後ろ向きな理由だけで技術の発展を妨げる権利が、今を生きる人間にあるのかどうか疑問に思います。

  

本来社会に求められているのは良い建物を作ることであって、良い図面を書くことが必ずしもイコールにはならないと言ったのはそんな理由からです。 


なぜいまBIMか。

建築に関わる全てが劇的に変わるからです。

 

 

おわりに

いつもご覧になっていだたきありがとうございます。

 

先日、最低なニュースがありましたね。

新国立競技場に携わっていた若手現場監督が過労自殺という痛ましい事件が。

 

とても悲しいことですがこの業界で働いていると納期のプレッシャーは本当に半端ないので、気持ちが想像できてしまうのがまた悲しいところ。

ましてやそれが国を挙げてのイチ事業となれば尚更のことでしょう。相当追い詰められていたんだと思います。

 

でもあの世界的に有名な建築であるサグラダファミリアもまだ建設途中です。

未完成の競技場での開会式なんてユニークじゃないですか。歴史に名を刻みますよ。

 

未来ある若者を国の都合で殺す国なんて一度滅べばいいんです。

 

それでは。